第22回『恋するリベラーチェ』

リベラーチェって誰?

皆さんリベラーチェって人をご存知でしょうか? 1987年にエイズで亡くなったアメリカの人気ピアニストで、悪趣味の代名詞のような言われ方をしながらも欧米で絶大な人気を誇ったエンターテナーであります。そしてこの映画は、彼の晩年の恋人であったスコット・ソーソンの目から見た、リベラーチェとの出会いと別れまでを描いた伝記映画。リベラーチェがゲイだというのは世間にバレバレでしたが彼は最後までそれを公には認めず、自身がエイズで死ぬことも隠匿しようとしました。なのでスコットとのスキャンダルは彼にとっては人生最大の衝撃であったはずですが、この映画はまさにそのスキャンダルを題材にしています。

物語の主役である超個性的な「あばずれクイーン」リベラーチェを演じたのがマイケル・ダグラス。もう70才なのですね。危険な情事』(字幕版有料フルムービーですよ)『ウォール街、懐かしいなあ……。80年代後半のアメリカ映画を代表する問題作ばかりです。当時はギラギラしすぎて破滅する中年男性を演じさせたらこの人の右に出る役者はいませんでした。そのギラギラの最後の炎は2000年にキャサリン・ゼタ・ジョーンズと結婚した頃だったか。以降はぱっとした話題もなく、ちょうど4年前にステージ4の喉頭ガンを公表、そこから奇跡の生還を果たしたところでついに、ギラギラ中年のイメージから脱皮したと思います。アクが抜けて、俳優として自由になったと思ったら、『危険な情事』時代には考えられなかった役で完全復活! ドラッグクイーンギリギリのオカマ老人が本当に、ハマりまくってました。キモ系おじいちゃんの生々しいファックシーンをさらりと(?)演じきったのは驚愕でした。マイケル・ダグラスを久しく見ていなかった皆さん、是非この映画いやドラマを観てください。あまりの変貌ぶりに感動しますよ。

松下祥子@猫手舎
ほぼWEB専業コピーライター兼ライター。大手検索サイトでのWEBマガジン立ち上げを経て独立、ポータルサイトでのコミックレビューコンテンツをはじめ、WEBサービスのブランディングや広告にこまごまと参加。執筆の得意分野は映画、ドラマ、本、旅行、オカルト、犬、昼寝などなど。