第10回『それでも、生きてゆく』

イケてないイケメン瑛太の凄み

このドラマのもう一方の主役である被害者の兄・洋貴を演じた瑛太は、「彼女いない歴が自分の年と同じ」というニートで引きこもりのアラサー男そのものに見え、そこにも驚かさました。イケメンなのは間違いないのですが、よく見ると髪も相当爆発してるし白髪まじりだし、顔も童顔でオス臭が少ない。演技力もさることながら、持って生まれた容姿も役者であることに非常にプラスに働いてるのだなあと感心しました。

双葉は過去には婚約者もいた設定なので、至極まっとうな社会性を持っているのですが、対する洋貴は事件の後、父親がやっている湖畔の釣り船屋に引きこもって暮らしてきましたから、女性に対する免疫がない。なので、加害者の妹である双葉に激しい攻撃心をつのらせながらも、やっぱり女として意識しちゃってギクシャクする様子が生々しいのです。
それまで瑛太を「すかしたイケメン野郎」と言っていた周りの男性陣が今回の洋貴役ばかりは「親近感がわいた」なんて話をしており、髪バクハツ系の内気男子が大好物の私も、洋貴いや瑛太を分かってあげられるのは私しかいない!ぐらいの気持ちになってましたから、私生活ではおしゃれ木村カエラとおしゃれ新婚生活を満喫しているおしゃれモデル出身であるという事実を思い返すたびに裏切られた気がして「不幸になればいいのに」と呪詛を唱えていたら、ドラマの撮影が始まるちょっと前に瑛太のお父さんが自殺していたというニュースを後で知って、この時ばかりは私も自分の性根の悪さを恥じました。瑛太演じる洋貴にやたら凄みがあったのは、もしかしたらお父さんのことがあったからかも、なんて思いながら、しかしこのドラマはどこまで暗いんだと。光がないじゃないかと。こうなったら瑛太の浮気で木村カエラと破局するとか、そういう頭悪げな展開で気持ちを軽くするしかないのです。なのでその方向でお願いします。

松下祥子@猫手舎
WEB専業コピーライター兼ライター。大手検索サイトでのWEBマガジン立ち上げを経て独立、ポータルサイトでのコミックレビューコンテンツをはじめ、WEBサービスや広告にこまごまと参加。得意分野は映画、ドラマ、本、旅行、オカルト、動物、昼寝などなど。