第40回『ハケンの品格 × オフィスの女王』

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日韓対抗スーパー派遣&くるくるパーマ対決!

今さっき知ったんですが、2015年9月1日、つまりついこの間、改正労働者派遣法がスタートしてたんですか?分からないんですけど「ハケンはいまが旬」ってことでいいですか??ということで今回は労働者派遣法改正記念・日韓非正規雇用者ドラマ『ハケンの品格』(2007年/全10回)×『オフィスの女王』(2013年/全16回)を全ネタバレで徹底比較してみます!(難しい話は半分ぐらい間違ってるかんじです)

 

ハケン村の悲劇

私、人生の大半をフリーターなど非正規雇用な感じで生きてきて、たった2年しか正社員の経験がないんです。基本バイトだったんでオフィスで働く場合はおみそ、社内賤民みたいな位置づけでしたが、そのころ事務職や専門職の派遣社員の方々というのは「選ばれた非正規雇用者」だったんですよ。時給も高いし身なりもきれいだし机も仕事も立派だし、お昼休みに連れ立ってランチしてる姿もキラキラしてて、なんかいい匂いもするし、いいなーわたしもナリタイナーって憧れてたんですが、その5年後、2007年に今回ご紹介する『ハケンの品格』を観たわけです。私の夢みた非正規ヒエラルキーの頂点にいる方々のドラマですよ。これが最高視聴率26%を超える大ヒット。篠原涼子扮するスーパー派遣・大前春子と大泉洋演じる派遣差別主義者・東海林武の掛け合いが面白くてね。でもあれ?思ったより派遣のお姉さん達の扱い雑じゃない?なんて思ってるうちに来ましたね……派遣村です。年越しのやつ。悪夢の2008年です。

2008年といえば、まずは秋葉原通り魔事件がありました。犯人が派遣社員だったので、底辺職種の代表みたいなイメージがつきましたね。続くリーマンショックで社会問題化したのが派遣切りです。日雇い派遣とか、年越し派遣村とか、明日にも家を失う元派遣社員の話なんかを毎日毎日テレビで見てもう怖くて、ただ同じくらい怖かったのが年末に控えていた出産だったんです。私のね。そのころ腹がもうパンパンでした。で、12月の半ばにいよいよ陣痛が来まして、助産師さんがヒーリングミュージックを産室にかけようとするんで「それより今すぐ派遣切りのニュースを見せてくれ!!」と、そればっかり叫んでしまうくらい陣痛って痛くてですね、この痛みをごまかせるとしたら自分より辛い人つまり派遣切りにあった人を見る以外にないと強く思ったんですけどね、産室にテレビないし人としてもどうかと思うよと言われて問答無用でヒーリングミュージックをかけられました。

『ハケンの品格』というと、自分の性根のくさり具合を思い知った、そんな甘酸っぱい思い出がよみがえるのです。ちなみにリーマンショックのせいで『ハケンの品格2』の企画が飛んだそうです。しょっぱい。

松下祥子@猫手舎
ほぼWEB専業コピーライター兼ライター。大手検索サイトでのWEBマガジン立ち上げを経て独立、ポータルサイトでのコミックレビューコンテンツの企画運営を始め、WEBサービスのブランディングや広告にこまごまと参加。執筆の得意分野は映画、ドラマ、本、旅行、オカルト、犬、二度寝。