第36回『心がポキっとね』

このドラマの本当の主役、星野源について語ろう

ここからは、ドラマの本筋とは全く関係ないですがマストチェックの要素について語ろうと思います。それはズバリ、主題歌!今大注目「サブカル女子のアイドル」星野源による『SUN』です。

この歌がね、いいんです。ほんとに『心がポキっとね』そのもの!曲はあくまでも軽くメジャーなJ-POP路線で、MVもおしゃれでとっつきやすいラブソング、と思いきやよーく歌詞を聞いているとラブソングじゃないんです。

まずは曲を聴いてみましょう。

君の声を聴かせて 雲を避け世界照らすよな
君の声を聴かせて 遠いところも雨のなかも全ては思い通り

このサビの歌詞を聞くと、ポップなラブソングかなーと思いますが

頬には小川流れ 鳥は歌い
何か楽しいことが起きるよな 幻想が弾ける

「小川流れ鳥は歌い」といかにも楽しそうなのにその小川は「頬」を流れる。泣いてたんですかね?でも理由は一切出てきません。そして楽しいことが起きるような「幻想が弾ける」と。いい予感すら「幻想」だと。で「弾け」ちゃう。弾けるの早い。つまり人生そんなもんだ、てことでしょうか。ネガティブ!

でクライマックスの転調前に出てくるのは

僕たちはいつか終わるから 踊る 今

これがラブソングであっても「終わる」が前提の歌なんですね。

全体を見ていても、現実は明るいことばかりじゃない。今泣いていても、いつかその闇は明けて、その暗いことも明るいこともいつか全て終わる。だから今歌って踊って、楽しい幻想に浸ろう。て感じの世界観でやっぱ微妙にネガティブなんです。もっと深読みするならこれ、タイトルが『SUN』なんで「君」は「SUN=太陽」なんじゃないか?「いつか終わる」のは「恋」どころか「この世」じゃないかと。やっぱりラブソングじゃない可能性大なんですけど軽くてポップでおしゃれでラブラブ。『心がポキっとね』にこれ以上合う主題歌があるでしょうか?星野源、恐るべし!

でこの「SUN」ですが、星野源がいつもバナナマンの日村に贈るバースデーソングの42歳バージョン、つまり2014年のものとコードとメロディーが同じなんです。ええ?ドラマの主題歌なのに、これ、使い回し!?にしても何このギター。二本なんじゃないのってぐらいの複雑な音、かっこよくてクラクラします。にしても使い回しとは……

しかし星野源ならやりかねません。歌にギターに作詞作曲だけじゃないんです。マリンバも超絶!しかもお笑いのセンスも抜群です。文筆家でもあり、役者としては大人計画所属でかなりの演技派なのです。人気を博した朝ドラ『ゲゲゲの女房』やクドカンの『11人もいる』にも出てましたし、園子温の映画『地獄でなぜ悪い』では主演ですから。インディーズ時代は自身が率いた一癖ありすぎるインストバンド「SAKEROCK」で熱狂的人気を誇りました。ついでにSAKEROCKも一曲聴いておきましょう。『モテキ』のオム先生こと浜野謙太がメロディーのトロンボーン担当です。独特のMVも星野源率いる映像ユニット「山田一郎」によるもので、この曲「ホニャララ」のMVでは賞を色々受賞しました。

何をやらせても多彩!イケメンじゃないくせに笑顔が素敵、かわいい!!彼の靴下を放り投げておくとサブカル女子の人だかりができると言われるぐらいの人気のほどが知れるというものです。このドラマに興味が持てなかった方も、星野源だけは掘り下げておきましょう。曲はハッピー歌詞は意味深、そんな素敵なナンバーに一杯出会えますよ。ドラマよりぐいぐい押しておきます。

源くんはいまのところの私の「空想の彼氏」でして、毎日脳内であんなことやこんなことをしています。本物の彼女だというAikoの写真をグサグサにして事務所に郵送しなきゃならないので、本日はこの辺で失礼いたします。

松下祥子@猫手舎
ほぼWEB専業コピーライター兼ライター。大手検索サイトでのWEBマガジン立ち上げを経て独立、ポータルサイトでのコミックレビューコンテンツをはじめ、WEBサービスのブランディングや広告にこまごまと参加。執筆の得意分野は映画、ドラマ、本、旅行、オカルト、犬、昼寝などなど。