第34回『怪奇大家族』

高橋一生唯一の主演ドラマ、しかし影の主役は

メメント森の興奮は置いておいて、主役の高橋一生さんの話を。本レビューでも出てきたかな?忘れてしまいましたが、高橋さんがイケメンに鼻の効く女どもに注目され始めたのは、2013年に満島ひかり主演で放送された母親いじめドラマ『Woman』の医者役。ゆるふわパーマにバリトンボイスのギャップ萌えで、当然私の鼻も動きましたよ。実際出番は少なかったにもかかわらず、このドラマで「え?これがあの前からいる地味な俳優?」とファンがわらわら集まったのは確かです。そこからもこれといった大きな役はありませんが、器用な実力派脇役として子役から叩き上げの演技力でもって着実にファンを増やし、昨年の『信長協奏曲』での浅井長政、『軍師官兵衛』での岡田准一との親友共演で中規模ブレイクとなりました。で、そんな高橋一生君に過去一度だけ、一瞬風が吹きかけた映像作品がこの『怪奇大家族』。高橋青年24歳にして初めてのドラマ主演です。実際彼の熱演たらない。まあ演技が細かい!なんで君一人そんな厚い芝居してんの?と首をかしげるほどの仕事です。驚き方ひとつとっても全て裏がある「メソッド演技」ですからね。現場では監督連に天狗と呼ばれていたそうです。このゆるーいドラマのなかで、座長としてドラマの芯になるという大役を充分に果たしました。しかしね、カルトドラマだけに、この先に続かなかったのが本当に残念。おばさん、あなたの成功を心から祈ってるのよ。せめて準主役、そこまで手が届けば!!

※ここまで来てなんですが、高橋一生て誰だっけ?て方のために、若き日の動画貼っときますね。SMAPじゃない方です。

このドラマ中、高橋青年一番の見せ所といえば、やはり「実録!仁義の冥土」でのバーテン役です。「とにかく人が死ぬ とにかく人が死ぬ」という掛け声は彼の俳優人生に残る名台詞だと思います。が、やっぱりね、この回を持っていったのは、メメント森役の松重豊さんでしょう。『孤独のグルメ』でブレイクした遅咲きの巨人です。長年培ったヤクザ役の技を存分に活かして、影のある、男の色気ムンムンの無縁仏役をこれ以上ないほど演じ尽くしてました。そして全編見渡しても、松重さんほどのインパクトがある役はなかったですね……高橋青年はずっと出てる分、見ているこっちが技巧に慣れていくので分が悪かった。松重さんの一話のインパクト、それもこのドラマ最高の一話での主役。残念ながら、『怪奇大家族』の本当の主役は松重さんだったかなあ……。しかし高橋青年のメソッド演技も本当に素晴らしかった。これだけ陽のあたらないカルトドラマで火花散る演技勝負を見られただけでも私、幸せでした。ほんとに良作なので、寝る前にポツポツとでも見て欲しい!今晩から!!

※ここまで来てなんですが、松重豊て誰だっけ?て方のために、熱唱シーン貼っときますね。アッコの人です。

松下祥子@猫手舎
WEB専業コピーライター兼ライター。大手検索サイトでのWEBマガジン立ち上げを経て独立、ポータルサイトでのコミックレビューコンテンツをはじめ、WEBサービスや広告にこまごまと参加。得意分野は映画、ドラマ、本、旅行、オカルト、犬、昼寝などなど。