第28回『キング 2 hearts』

これがリアル?ポップで生き生きとした北朝鮮の風景

映画を問わず、韓国モノの定番テーマといえば、ラブコメ、難病、そして南北問題。韓国が大得意とするスパイアクションの大半に北朝鮮工作員が出てきますし、少なからず工作員が主人公の場合も。不思議なことに、朝鮮半島分断の発端を作った日本へのバッシングは少なく、「個人レベルで芽生えた友情が、国家の問題で引き裂かれる」というストーリーが目立ちます。

ドラマでも南北ものを扱った作品はあるのですが、『キング 2 hearts』が他と全く違うのは、平壌で暮らす人々の暮らしが、女子つまりキム・ハンアの視点で描かれたこと。軍隊の格闘技大会で並居る男たちを半殺しにした後、おしゃれしてあの有名な地下鉄構内(上がセット、下が本物!)へ駆け出す場面は、なんだか資本主義社会の女子を見ているよう。ダサいけど高乙女度なおしゃれで「今度こそ恋をするんだ!」と思いつつ、毎度振られてしまう恋愛処女。そんな痛めのアラサー女子の日常が、平壌を魅力的に見せてしまうんです。といいつつ、田舎に行けば道端でガリガリの子供が木の根を齧ってたりするんでしょうけどね。拘置所で政治犯が指の爪全部剥がされたりしてたりね。そういうところにうまく目を瞑りつつ、板門店から平壌までポップに描き尽くしたこのドラマは偉大だと思います。

我々の北朝鮮のイメージといえば、金正男、テポドン、マスゲームですよね。ということで、2012年のマスゲームの模様を。ちょいちょい間に小芝居入りつつ、基本1時間半ずーっとマスゲームです。この執念を、何か生産的なことに活かせないものですかね、

松下祥子@猫手舎
ほぼWEB専業コピーライター兼ライター。大手検索サイトでのWEBマガジン立ち上げを経て独立、ポータルサイトでのコミックレビューコンテンツをはじめ、WEBサービスのブランディングや広告にこまごまと参加。執筆の得意分野は映画、ドラマ、本、旅行、オカルト、犬、二度寝などなど。