第28回『キング 2 hearts』

 

Screen Shot 2014-12-08 at 11.08.28 PM永遠のテーマ「南北問題」を扱った、カテゴライズ不能の優良ドラマ!

現在韓国では秀吉の朝鮮出兵を木っ端微塵にした英雄・李舜臣の映画が、洋画を含む観客動員数記録を塗り替えるウルトラヒットとなっていて、まあこれは、「抗日映画」ですかね。かたや我が国は在特会がひどい有様です。こんななか呑気に韓国ドラマなんて観てていいのかな、なんてことは1ミリも思わずご紹介いたしますのは、「南北問題」を扱ったラブブラックコメディーサスペンス『キング 2 hearts』(2012年/全20回)。男性視聴者をも魅了した型破りドラマの暴れっぷりを、余すところなくレビューいたします!

 

韓国の悲願「南北融和」をテーマにした…何?

こちらのドラマ、ひとくちに言うと、韓国に王室があるという設定のもと「南北融和にむけて韓国の王子と北朝鮮の女性特殊工作員が結婚したらいいんじゃない?」というもの。でもイチャイチャラブコメとは全く違います。

南北分裂後の韓国に、実直で勤勉な国王(イ・ソンミン)と、その弟であるダメ王子(イ・ソンギ)がいて、この国王には「南北融和の達成」という悲願がある。で、南北が融和へ向けた第一歩として選んだのが、各国将校だけで作ったチームの擬似戦闘でどの国が最強かを競う「世界将校大会」へ、南北統一チームを出場させることだったんです。チームの主将は北朝鮮の特殊工作員女性教官であるキム・ハンア(ハ・ジウォン)。国王は自分のダメな弟をこのチームに無理やり参加させる。2人はここで出会い、後に婚約して暗躍する陰謀と戦っていくことになります。

『キング 2 hearts』の大きな特徴は「率直さ」にあります。国王が弟に「国民の税金で暮らさせてもらっているのだから、お前も頂いた分は働け」なんて言っちゃう。多大な寄付をしてくれる富豪には、侮辱されても頭が上がらないなんて設定もある。王室が存在しない韓国には「それは言っちゃいけない」という感覚がないんですね。税金で王族(皇族)を扶養しているのは日本も同じですが、それを国王に言わせるなんて、あこぎですねえ!他にも王女が「私達は分断が趣味なのよ」と言ってみたり、王が北朝鮮の高官に「お前らは俺たちにとっちゃ、迷惑なだけの異母兄弟だ」なんて言い放ったりね。いくら韓国ドラマが過激とはいえ、さらっと出せる台詞じゃないです。

とにかく出演者におっさんが多くアクションシーンも満載で、第一回を見た限りでは一体この先どういう展開になるのか全く分かりません。ブラックコメディーか?サスペンスか?まさかのラブコメか?それすら分からないのに、丁寧すぎる映像と練られたプロットで惹きつけられる。スケールがでかくて、映画並みの本物感。こんな作品は分かりやすければチープでもいい韓国ドラマでは大変珍しく、だからこそ観る価値があるんです。

そんな興奮の第1話、こちらのサイトから1話だけ無料で見られます。別に楽天の回し者ではないですよ。

松下祥子@猫手舎
ほぼWEB専業コピーライター兼ライター。大手検索サイトでのWEBマガジン立ち上げを経て独立、ポータルサイトでのコミックレビューコンテンツをはじめ、WEBサービスのブランディングや広告にこまごまと参加。執筆の得意分野は映画、ドラマ、本、旅行、オカルト、犬、二度寝などなど。