第26回『ホームランド』

90年代の大物がドラマで秀作を生み出す時代

このドラマの主人公であるクレア・デインズは、最近じゃ少しご無沙汰感がありましたけど、90年代を代表する若手女優です。

クレア・デインズの代表作っていったら『ロミオ+ジュリエット』になるんでしょうか?それまで演技力はあるけど容姿端麗と思ったことがなかったので、この映画の彼女のかわいさには度肝を抜かれました。変な映画でしたけど、ロミオ役のディカプリオも最高にかわいかった時代ですよ。クレアとディカプリオのカップルは、ほんとにかわいいの自乗で見惚れました。

ディカプリオは翌年のあの『タイタニック』のせいで、トム・クルーズ的な商業的俳優というレッテルがつき、いまだにオスカーに手が届かないなんて言われ方もします。共演したケイト・ウィンスレットも大変な演技派ですけど、顔がとても美しいことも手伝って、その後タイタニック的なイメージを振り払うのに大変苦労したとか。荒野を陰毛丸出し全裸で失禁しながら歩いてくるという狂演を見せたのは(『ホーリー・スモーク』)、そのせいだろうと私は推測しています。

クレア・デインズも、ディカプリオのアイドル的人気に引きずられた不幸な女優の一人なのかもしれません。目立った主演作は、その3年後の『ブロークダウン・パレス』まで。2011年に『ホームランド』の第1シーズンが始まる前は、ほぼ2年間無職状態だったとか。

この『ホームランド』も題材が込み入ってるし、『24』みたいな激しいアクションもなく次が気になる大きな引きもなく、どうなることかと案じましたけど、結局クレアのバイポーラー演技に引っ張られてシーズン1の最後まで見ました。で、そのバイポーラー演技がすごすぎて、シーズン2を見ざるを得なくなり、3、4と進むごとに話が激しくなっていくので、ズルズルと引きこまれていくという。主人公キャリーのテンションが上ずっていくときのやばい顔はほんと、すごいです。見て欲しい!特に後半、いよいよ症状が激しく出てくるときの鬼瓦感ったらない。よくぞ女優がここまで容貌を崩せたなと感激します。以下、触りだけですが。

日本の女優は一皮剥けたいときに体当たりの濡れ場を演じますけど、アメリカでは美貌を捨てるみたいです。レニー・ゼルウィガーシャーリーズ・セロンヒラリー・スワンクと、美しさを捨てた代表作を持つアメリカの名女優は数知れませんけど、クレア・デインズの『ホームランド』もまさにそういう作品です。是非とも脱アイドル化したクレア・デインズの力技を、劣化したねーなんて言わずご堪能いただきたいと思います。ああみんな、頑張って生きてんだなあって感じがして、清々しい朝を迎えられることうけあいです。

松下祥子@猫手舎
ほぼWEB専業コピーライター兼ライター。大手検索サイトでのWEBマガジン立ち上げを経て独立、ポータルサイトでのコミックレビューコンテンツをはじめ、WEBサービスのブランディングや広告にこまごまと参加。執筆の得意分野は映画、ドラマ、本、旅行、オカルト、犬、昼寝などなど。