第24回『推奴ーTHE SLAVE HUNTERー』

これぞ韓国風!無駄に全裸なモリモリ設定を楽しむ

『推奴』は韓流ドラマのわりにオス度がすごく高くて、まず韓流ドラマには寄り付かない日本人男性にすら支持されたほどなので、女性受けするような要素が少なめ。180センチをゆうに超える男性出演陣のなかで主役が群を抜いて小さく、色も黒く汚い役でイケメン度が低いのもかなり珍しいことです。そのせいなのか、別方向で女性視聴者へのサービスシーンが山盛りなのもこのドラマの大きな特徴です。主役のテギル、兄貴分のチェ将軍(ハン・ジョンス)、弟分のワンソン(キム・ジソク)の推奴師3人組は、スタジオですら息が白くなるシーズンまで半裸。なかでもサービスショット要員として採用されたというハン・ジョンスはお茶の間のおばちゃんが赤面するぐらいの露出量の多さで、かろうじて股間が影になって見えないだけのフルヌードまであったほど。皆と同じに戦ってもひとりだけ服がはだけちゃうし、とにかく、脱いで脱いで脱いで。チャン・ヒョクの強烈なワレワレ腹筋に対して、ハン・ジョンスはバランスのよい全身筋肉で勝負です。対するソン・テハ将軍ことオ・ジホは拷問で裸体を披露。苦しんで力む体は筋肉がより引き立ってうっとりしちゃう。ライザップのCMが間に入ったら、かなりの確率で男性視聴者が契約するものと思われます。

アクションシーンといい男性のヌードといい、日本の倍くらい盛ってくるのが韓国風なのですが、女性で盛ったのは何かというと「障害者」の表現。殺人マシーンのチョルンの妻が脳性麻痺という設定なのですが、これが日本じゃありえないぐらい生々しい表現で、引きつるわよだれはたらすわ。チョルンの追い詰められた内面を表すためにここまで障害者を「露悪的に」描くという盛り方はまさしく韓国流。若干固まりつつも、映画『オアシス』で脳性麻痺者の恋と性を生々しく演じてヴェネツィア映画祭新人俳優賞をかっさらったムン・ソリ女史の演技を参考までに貼っておきますね。

松下祥子@猫手舎
ほぼWEB専業コピーライター兼ライター。大手検索サイトでのWEBマガジン立ち上げを経て独立、ポータルサイトでのコミックレビューコンテンツをはじめ、WEBサービスのブランディングや広告にこまごまと参加。執筆の得意分野は映画、ドラマ、本、旅行、オカルト、犬、昼寝などなど。