第24回『推奴ーTHE SLAVE HUNTERー』

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男たちよ、いい体になりたければ、このドラマを観るのだ!

今週は、廃人ドラマニアはじめての韓国時代劇。それも「泥臭い男の世界」を描いた「フュージョン時代劇」。定番の宮廷ものではなく、ムッキムキの半裸の男たちがキレッキレのアクションで組んず解れつ男泣き…韓国ドラマには珍しく男性にも高い人気を誇り、しかも見たら必ず筋トレしたくなるという、男のアンチエイジングにぴったりの『推奴ーTHE SLAVE HUNTERー』(2010年・全24話)をご紹介します。読む前に予習をしたい方はこのあたりから。

 

これぞ韓国アクション!凝りまくった演出がニクイ

『推奴(チュノ)』とはTHE SLAVE HUNTERという副題にもある通り、逃亡奴婢(奴隷)を捕まえて所有者である両班(貴族階級)の元へ連れて行き、報酬を得るというゴロツキ稼業のこと。主人公のテギル(チャン・ヒョク)と仲間たちは家畜同然の扱いで酷使されてきた奴婢がやっとの思いで逃げたのを捕まえる訳ですから冷酷非情そのもの。めちゃくちゃ強いし。板チョコ腹筋だし。逃亡奴婢は打つ手もなくボコボコです。

一方で、政治的謀略に巻き込まれて奴婢に落とされていた朝鮮最強かつ最高イケメンの武将ソン・テハ(オ・ジホ)は、ある使命のため逃亡する。彼を抹殺したい朝廷の権力者は、やはり朝鮮最高の推奴師と名高いテギルを雇って追わせるのですが、その裏で自分の娘婿であるファン・チョルン(イ・ジョンヒョク)にもテハ暗殺の密命を出し、テハを巡ってテギル、チョルン3つ巴の追跡劇が繰り広げられる。と、そんなお話です。ここまでの様子を予告編動画でどうぞ。

特に冒頭シーンは出色の出来です。砂埃舞う荒野に半裸の推奴師ブラザーズが現れる場面はまるでアメリカのワル映画のよう。そこから怒涛の推奴狩りまでの流れは『推奴』のフュージョン時代劇たる所以を余すところなく披露します。テギルを演じたチャン・ヒョクは、ブルース・リーの編み出した武道ジークンドーの師範。ボクシングなんかも齧ってます。ジークンドーっていったら、目、金玉、喉への攻撃もオッケーの即戦術ですよ。テハやチョルンは武器を持ってるからいいようなものの、丸腰で栄養状態も悪いであろう奴婢の方々が気の毒でなりません。

しかしそんなジークンドーも絵的には欠点があって、動きが早すぎて何をやってるかよく分からないんです。猫ちゃんのガチ喧嘩ぐらい一瞬でやっつけてしまう(参考動画)ので意外に見せ場がないんですが、飛び回し蹴り等々の大技を入れて、スローモーション、急速ズームからの引き、回転などカメラワークで緩急をつけ、まるでアーケード格闘ゲームのような遊び心たっぷりのアクションシーンを見せてくれます。チョルン役のイ・ジョンヒョクは殺人マシーン役なのにアクションが苦手なのだそうですが、この演出のお陰で問題なし。回が進むにつれてひたすら派手になっていくアクションはワクワクの連続です!

ちなみに韓国が世界に誇るアーケードゲーム型アクションといえばカンヌ受賞作『オールドボーイ』の横スクロール格闘シーンですんで、動画貼っときますね。

松下祥子@猫手舎
ほぼWEB専業コピーライター兼ライター。大手検索サイトでのWEBマガジン立ち上げを経て独立、ポータルサイトでのコミックレビューコンテンツをはじめ、WEBサービスのブランディングや広告にこまごまと参加。執筆の得意分野は映画、ドラマ、本、旅行、オカルト、犬、昼寝などなど。