特別企画!日米韓No.1医療ドラマはどれだ?パート1
世界中で愛されている医療ドラマ。メキシコやインドでもブームかどうかは知りませんが、少なくとも昨今の日本じゃ大ブームです。私も大好きでして、この連載でも過去15回の間に3回も紹介しちゃってます。そこで。さよなら夏休み特別企画!「日米韓No.1医療ドラマはどれだ?」を3週にわたってお送りしたいと思います。我が国の栄えあるNo.1は?『Dr.コトー診療所』(2003~2006)でございます!異論は聞きません!!
不動のリアリティーと世界観
さて、今回紹介する日本No.2の医療ドラマ『Dr.コトー診療所』。すいませんいきなりランクを下げてしまいました。No.1はそりゃあ、山崎豊子大先生の『白い巨塔』ですよ。言わずもがなです。しかし世界一なので殿堂入りということで除外しました。医療ドラマの代表的人気作が他にもあることも知ってます。調べたところでは『救命病棟24時』『医龍ーTeam Medical Dragonー』『JINー仁ー』あたりでしょうか。何故これらをさしおいてDr.コトーがNo.2なのか?それは私が吉岡秀隆病だから、ではなくて「世界観のリアリティー」が最も秀でているからです。ほんとは『JINー仁ー』のオリジナリティー溢れる世界観には誰も勝てないんですけど、これは幕末ファンタジー枠にも入ってますので除外。救命病棟シリーズは特番も入れると10シリーズも放送されててこの中じゃ断トツ人気ですがね、そしてこの中じゃ唯一の「原作なし」ですがあれはアメリカの『ER緊急救命室』あってのドラマですから。しかもERと比べると見劣りしてしまうという。『医龍ーTeam Medical Dragonー』は観てないんでよく知りません。主役が坂口憲二と言われるとね……名ドラマと言われるからには、主役もちゃんと演技ができなければ。ということで、役者と世界観両方揃った『Dr.コトー診療所』がNo.2だというところ、皆さんご納得いただけたかと思います。
『Dr.コトー診療所』の「世界観のリアリティー」に対する吉岡秀隆の貢献ぶりったらすごいです。真っ青な海と空、強すぎる日光にかき消されそうな主人公・五島健助ことコトー先生は、『北の国から』以来「日本一大自然から浮ける屁タレ」「根無し草感No.1俳優」の名をほしいままにしている吉岡さん以外誰がやれるでしょう?富良野にいつまでも馴染めないひ弱な東京っ子、でも東京に行ったら流行でも学業でも完全に置いていかれてた純君の寄る辺なさ。彼が白銀の世界から浮き続ける様子を19年も見せられきた我々は、べろべろに船酔いしながら南の孤島にやってくるコトー先生を見た瞬間「ああこれか」と納得するわけです。彼が東京でどんな風だったか手に取るようにわかる。ファーストシーンだけでなるほどと。後年放送された医療版『男はつらいよ』の『海の上の診療所』が、コトーとは全然違うのにタイトルだけで「あーそういうのもう見たから」と思われてしまうほどにDr.コトーの世界観は不動なのです。吉岡秀隆、医者、南の島と聞いただけで見てもないのに「純君、立派になったけどまた東京で負けたの?」と切なくなれるわけです。既視感なんて言っちゃいけません。世界観です。放送前からこれだけしっかりした世界観を視聴者に提供できた医療ドラマは、日本ドラマ史を見渡してもこの『Dr.コトー診療所』だけでしょう。