第16回『Dr.コトー診療所』

「僕らは病気を診るんじゃない、人を診るんです」

あらゆる医療ドラマで聞き尽くしたようなこの台詞を、誰より自然に、温かく、リアリティーを持って言える稀有の俳優・吉岡秀隆氏。廃人ドラマニア第7回『トクソウ』吉岡秀隆病という難病について書きましたが、この不治の病に取り憑かれる可能性が2番目に高いのが『Dr.コトー診療所』です。吉岡氏のキャラがはまりすぎてるのにどこかがおかしい。そんな時に発症するのが吉岡病なのですが、今回(も)微妙におかしいのは髪型。彼の荒ぶる髪の始末の仕方がおかしい。シーズン1でウルフカットが伸びきっちゃったから自分で切ってみたみたいな不思議極まる髪型、あれわざわざ監督と相談しつつ切ったのだそうです。シーズン2は先の反省を活かしてもうちょっとプロっぽく整えてみたんですが、そのせいでかえって前髪の長い横分けがハンバーグ(菅原洋一)を彷彿とさせるという…何故あの前髪を維持しなくてはならなかったのか?それはね、私今回見なおして気づきました。全てはうなだれた時にあわせて準備されたスダレだったんです。悩んだ時、泣き虫の時、謝る時、あの前髪が絶妙な影を作る。天然のソフトフォーカス効果。特にしょっぱい手術の後の、汗まみれで乱れた髪のすだれ効果は絶妙です。あの前髪で、吉岡秀隆病患者を激増させたと思われます。

正直これだけ『北の国から』のイメージを引きずる彼を活かせるドラマが今後出てくる可能性は低く、いや北の国からのイメージをコトーでさらに上塗りしてしまったため、吉岡秀隆の今後の活路はDr.コトーのシーズン3しかない。しかしシーズン2で柴咲コウがらみのグロいシーンが増えた上にイマイチパッとしなかったからか、シーズン3は柴咲のキャスティングが難航して棚上げ状態だといいます。柴咲待ちで8年です。正直柴咲さんはもうご退場願っていいと思うんですけどね。『ガリレオ』シーズン2みたいに違うヒロインを投入して、吉岡病患者を救う意味でも是非ともシーズン3を。原作じゃ彩香(柴咲)とコトーの恋愛らしきものは自然消滅するし、視聴者は多分そんな恋愛望んでませんし。シーズン2で大人気だった堺雅人とのやおい話を現実に盛り込めば、ラブ要素はクリアじゃないでしょうか。吉岡氏の童顔が加齢に負ける前に、早くシーズン3を!早く!!

松下祥子@猫手舎
ほぼWEB専業コピーライター兼ライター。大手検索サイトでのWEBマガジン立ち上げを経て独立、ポータルサイトでのコミックレビューコンテンツをはじめ、WEBサービスのブランディングや広告にこまごまと参加。執筆の得意分野は映画、ドラマ、本、旅行、オカルト、犬、昼寝などなど。