ゾンビを通して語られているもの
とにかくこの話、安直なパニックものに逃げないところが好感持てるんですけども、それぞれのシーズンを端的に表すいいたとえを思いつきました。
シーズン1→酒鬼薔薇くん、故郷へ帰る
シーズン2→黒人差別
両方を通して→ブロークバック・マウンテン
……なんかよく分からんでしょうが実際そうなんです!酒鬼薔薇くんというのは今話題の「元少年A」さんのことです。
あのものすごい事件のあと、少年Aがどこの医療少年院にいて、社会復帰したあとどこに住んでいるか、雑誌やネットで追跡がとまりませんでしたよね。例の本ね、最近出版された時の、世の中のあの拒絶反応を見ても、いくら病気だろうがもう治ったといわれようが、やっぱり子供を殺して目や口を切り裂いてバラバラの遺体を隠し持って性的興奮の対象にしてたと言われるとね、「無理だよ」と。うちの子と同じ町に住まれたら困る。そう思う親がいても当然です。つまりゾンビが「治って」町に戻ってくるというのはそういう話なんです。で、主役がその少年Aね。
シーズン2は、いよいよゾンビがPDS患者として社会に定着しはじめた頃からの話。となると「当たり前に暮らし始めたけどこいつら人間でいいの?」てのが大きな問題になりますね。「実際死んでるんだよ?人殺しだし。化物じゃん。こいつら隔離して肉体労働させとくのがちょうどよくない?」と世の中が動いていって、一方で「なんでファンデーションにコンタクトとかで自分を偽らなきゃいけないんだ」と反発するPDS患者達も出てくる。「隔離反対!」とか「PDS患者に自由を!」とか。まるで黒人が白人の奴隷として位置づけられ、マーティン・ルーサー・キングが差別を前に立ち上がったように。シーズン2のキーレン君はさしづめ、保守と革新の間で、白人と黒人の間で揺れる「白い黒人」という感じ。
ブロークバック・マウンテンについてはつぎのページで解説します。うふふ…