第41回『ゾンビ・アット・ホーム』

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ゾンビ視点の社会派ドラマだ??

ゾンビが嫌いといいつつ、『ウォーキング・デッド』に続き2本目のゾンビもののご紹介となります。しかし今回はグロ苦手な方でもだいじょうぶ。なぜって怖いゾンビが出てこないから!てかメインの登場人物の3分の1はゾンビなんですけど、怖いどころかひたすら気が重くなる展開は、さすがイギリスBBC制作。イギリスってどこまでも陰鬱な国ねえ…と感心しながら、今回の廃人ドラマニアはタイトルだけは楽しげな『ゾンビ・アット・ホーム』(2013-14 シーズン2まで全9話)をお届けします。

 

ゾンビ君、故郷へ帰る

このドラマをご紹介する前に、まず皆さんがすでに持ってしまっているかもしれない『ゾンビ・アット・ホーム』への固定概念を取り除きましょう。

・コメディー要素はない。
・パニック要素もない。
・主役は人じゃなくてゾンビ。
・ホームドラマでもない。

まず『アットホームダッド』的な邦題がよくないですね。原題は『In the flesh』。ずばり「生きてる」って意味です。フレッシュは新鮮(Fresh)じゃなくて肉(Flesh)のほうですよ。つまりウォーキング・デッド的な意味に似てますけど、あれは完全にデッドな人が歩いてるモンスターじゃないですか。イン・ザ・フレッシュのほうの「生きてる」は、意識のほうなんです。「屍肉」のなかに「生前そのままの人格」がいる感じでしょうか。

このドラマの主人公のゾンビ、キーレン・ウォーカー君(享年18歳)も、ちゃんとお墓の中からうぉおぉぉおってわいて出てきたんですけどね、ドラマのなかではすっかり、傷つきやすいフツーのティーンエイジャーです。しかもまつげバッサバサの、女の子みたいなかわいらしい子。そこも実は、このドラマの重要要素を意図しての配役かな、と私は妄想してますがね……

ドラマを正しく理解するための新たなキーワードは

・普通の人みたいなゾンビ
・主役の男の子がかわいらしい

です。覚えておきましょう。

松下祥子@猫手舎
ほぼWEB専業コピーライター兼ライター。大手検索サイトでのWEBマガジン立ち上げを経て独立、ポータルサイトでのコミックレビューコンテンツの企画運営を始め、WEBサービスのブランディングや広告にこまごまと参加。執筆の得意分野は映画、ドラマ、本、旅行、オカルト、犬、二度寝。