第30回『猫弁―死体の身代金―』

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吉岡病患者必見!今のところ「最後の当たり役」ドラマ登場

全国1億3千万人の吉岡秀隆病患者の皆さんに朗報です。1月から始まるTBS日曜劇場『流星ワゴン』に我らが吉岡秀隆さんが出演です!主役じゃありませんがね。最新出演作『若者たち』を超える露出になるかどうかも不明です。そんなわけで、今週は吉岡さん(今のところ)最後の主演ドラマ『猫弁』シリーズより、第一回『猫弁―死体の身代金―』(2012年/全1回)をご紹介します!2時間ドラマですが、患者悶絶の相当な当たり役。今回が今年のドラマニア納めですので、しっかりお読みいただければと思います。

 

猫すら似合ってしまう男・吉岡秀隆

吉岡秀隆さんはこちらのドラマで、「やたら猫を押し付けられる隠れ天才弁護士」の役を演じられています。もうこの一文で、どれだけ役にはまってるか分かりそうなものです。「孤独」「有能」「シリアス」「ドジ」「しょぼい」。この5つの要素しか吉岡さんは演じられず、しかもこのなかの一つじゃなくて複数にわたって要素がかぶってないと芝居がオーディエンスに伝わらないことは皆さんご存知と思います。でもひとたび成功すればもう、誰にもその役はできないというぐらいハマってしまう。吉岡秀隆さんというのはそういう、まことに面倒くさい役者さんでいらっしゃるわけですが、今となっては年齢と吊り合わない幼い容貌を乗り越えてくる主役オファーっていったらなかなかないわけですよ。なのでこの『猫弁』は、吉岡さん最後の名主役ドラマとなる可能性が意外と高い。なのにあまり知られてないので、吉岡病患者の皆さんは是非ご覧になって、こちらのドラマでの吉岡さんを勉強していただきたいと思います。

『猫弁』にて吉岡さん演じる百瀬太郎は、東大法学部を主席卒業、司法試験の最年少合格者であるという、有能テンプレートそのままの設定。いわゆるスター弁護士だったのですが、気の優しさが災いして有名ローファームを追われて個人事務所を立ち上げました。まるで『Dr.コトー診療所』を見ているような既視感です。現在お見合い30連敗中。暴発寸前のくるくるパーマに時代遅れな丸メガネというしょぼキャラ全開で、一歩あるけばドジを踏むという全くの三枚目。こちらは『ALWAYS 3丁目の夕日』の茶川先生を見ているような既視感。

今回ないのは、Dr.コトーや黒板純君のベースであったシリアス感です。三枚目でナイーブな部分だけを抽出した役で、このキャスティングをした人はなかなかの重症患者だなと感じ入りました。私も思ってたんですよ。吉岡さんは抜群のコメディーセンスの持ち主なので、そこだけをクローズアップした作品を見られないものかと。今回の『猫弁』は、そういうレアなニーズに真摯に応えてくれたわけです。1市町村に1人いるかいないかぐらいの希少なニーズを狙ったはずのこの作品の視聴率はしかし、12.6%。悪くない。どうですか皆さん!これが猫いや吉岡秀隆の力なんですよ!!

で、百聞は一見にしかず。続編の「猫弁と透明人間」のファンムービーですが、トホホな弁護士の吉岡秀隆がご確認いただけます。本当に猫キチなんじゃないかと見まごうほどの猫感です。

松下祥子@猫手舎
ほぼWEB専業コピーライター兼ライター。大手検索サイトでのWEBマガジン立ち上げを経て独立、ポータルサイトでのコミックレビューコンテンツをはじめ、WEBサービスのブランディングや広告にこまごまと参加。執筆の得意分野は映画、ドラマ、本、旅行、オカルト、犬、二度寝などなど。