第14回『ハウス・オブ・カード 野望の階段』

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ケビン・スペイシー&デビット・フィンチャー。アカデミー賞タッグがネットドラマに登場!?

胃弱の猫手舎が取り上げるバタくさ系ドラマ2本目は、あのケビン・スペイシーが主演を務めるアメリカの政治スリラー『ハウス・オブ・カード 野望の階段』(2013年~)です。いやー、画面が濃い!ケビン・スペイシーの肉食顔を見ているだけで、お米の国の人をやめた気分です。今週は銀シャリと味噌汁のことは忘れて、スペアリブをガブ食べするつもりで頑張ってご紹介いたします。

 

まさかの史上初、歴史的偉業

あのケビン・スペイシー、と書きましたが、皆さんこの方をご存知ですかね?私ぐらい不惑の方だと90年代後半を代表するオスカー常連俳優としてご記憶かと思います。『ユージュアル・サスペクツ』『セブン』『交渉人』なんかが有名ですね。一番の代表作『アメリカン・ビューティー』では、娘の友だちであるイケイケ女子高生との情事を夢想しつつやおら筋トレを始めるパパの役が本当にハマってました。橋爪功を思わせるねっとりした雰囲気と見事に縦割れた頬が特徴で、悪役が映えます。小日向文世に悪役が似合うのと同じ感じです。

デビット・フィンチャーには特に思い入れはありませんけど売れっ子監督みたいですね。『エイリアン3』で監督デビューし、『セブン』『ファイトクラブ』『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』『ソーシャル・ネットワーク』が代表作。後半2作でアカデミー監督賞ノミネートです。こう並べるとなるほど、全部みたみた。面白かった。

ケビン・スペイシーとは『セブン』で最初にタッグを組み、『ソーシャル・ネットワーク』(FBのザッカーバーグ君の伝記映画です)(『スティーブ・ジョブズ』より面白いですよ)ではスペイシーが製作総指揮を務めました。そんな2人がドラマに進出、それもNetflixのみで放送つまりネットドラマにというのはものすごいニュースというか、ハリウッド俳優が日本で缶コーヒーのCMに出たような、「そこまで落ちたか」と言われかねない選択、なんですがその年のプライムタイムエミー賞で9部門ノミネートというネットドラマ初の偉業でアメリカ中を驚愕させました。だってネットドラマですよ。Netflixといえば大手ですけど「Hulu」みたいなサービスが自前でドラマ作ったって言われてもピンと来ないし、札束切ったド派手な客寄せ(1シーズン13話で制作費100億円!)だろうと思うじゃないですか。でも蓋を開けたらやたら重厚な本格派政治ドラマですからね。しかもネットの強みを活かして1シーズン13話一挙公開なんてかっこいいこともしてくれました。アクションも急展開もエロも特撮もない状態でグイグイ引っ張っていく本物感も見事だし、やっぱりケビン・スペイシー。久々に見てもねっとり絡みつく極上の演技は変わってませんでした。

松下祥子@猫手舎
WEB専業コピーライター兼ライター。大手検索サイトでのWEBマガジン立ち上げを経て独立、ポータルサイトでのコミックレビューコンテンツをはじめ、WEBサービスや広告にこまごまと参加。得意分野は映画、ドラマ、本、旅行、オカルト、犬、昼寝などなど。