「北京」「上海」「広州」は
違う都市というより別の国
この国土の広さも、中国ゴルフを語ることを難しくしています。たとえば、北京と上海と広州ではまったくゴルフ動向も異なります。北京で売れたモノが上海ではまったく売れない(あるいはその逆も然り)、という話など、珍しくもなんともありません。1セット数百万円もする高級クラブが北京では飛ぶように売れた、とします。だから経済の中心地である上海ではもっと売れるだろう、とはなりません。上海と北京は別の都市であるという以上の隔たりがある、という感覚を持っていなくてはいけません。ひとつの都市の状況を見ただけでは、判断材料として不十分であり、中国という全体を語ることはできないということを肝に銘じておくべきでしょう。
これはつまり、「中国ゴルフ」というテーマで何かしらの「正確な」データが仮に存在していたとしても、逆説的にはそんなものにはあまり意味がないともいえます。それよりも、都市ごとの数値をあぶりだし、比較分析するほうがよっぽど実体に近づけるはずです。
読者の中には、北京や深センで行われる大規模なゴルフの展示会に足を運んだことがある方もいらっしゃるかもしれません。あれを過去に一度視察してみたからといって、「中国ゴルフはこうなのか」と思ってしまうのはあまりに早急です。複数の都市を見てみることが絶対に必要ですし、さらには進歩の早いマーケットですから、数年前の状況とはまったく違っている部分があるかもしれません。
要するに、筆者が「中国ゴルフはよくわからない」と言ったのは、データの意味性(無意味性)、国土の広さ、進歩の早さから、正確に実体を捉えて語ることは極めて難しい、ということがお伝えしたかったからなのです。
北京で行われたAsia Golf Show(2013)