※当連載は、一季出版が発行するゴルフ業界誌『月刊ゴルフマネジメント』へ、当サイト管理人の野田道貴が寄稿したものを転載しています
前回は、上海に住む日本人ゴルファーの動向について記しましたが、いよいよ中国人のお話に移っていきたいと思います。
最初にお断りしておきますが、筆者が中国にいるからといって、中国ゴルフの「本当のところ」をお話するのは非常に困難です。それどころか、現地に住んでいても、この国のゴルフは本当にわからないことだらけなのです。その前提で「わからないなりの、ひとつの感覚」をお伝えできればと思っています。
正確なデータが存在しない?
中国の数字は信用ならない?
すみません、のっけから無責任なことを書きましたが、何も言い訳をするつもりではありません。正直な話として、本当によくわからないのです。
たとえば、いまの中国にはどれくらいの数のゴルファーがいるのか。ゴルフ人口くらい、すぐにデータが出てきそうなものですが、実ははっきりとした数字は「よくわからない」というのが正確なところなのです。もちろん、さまざまな調査データは手に入ります。でも、根本的に、この国の「統計」というものはあまり信頼できたものではありません。共産党の一党支配による社会主義体制下で、日本と同じように信頼たり得る民間の調査データが普通に存在すると考える方が、そもそも間違っています。そのうえ、日本の約25倍の面積の国土に、10倍以上の人口が散らばっているのです。もし、何かしらの数字を手にしたとしても、両眉にたっぷりツバを付けても足りないくらいだと思った方が、ニュートラルにものごとを判断できるというものです。
その前提で、さまざまな「データ的なるもの」をかき集めて、推測値でものを言うことならできないこともないかもしれません。それくらい割り引いた姿勢でちょうどいいのです。という前フリをしておいたうえで、じゃあ中国のゴルフ人口は? という問いに答えるならば、100万〜200万人程度ではないか、というのがひとつの目安になるかと思います。
一方で、ゴルフ場に足を運んで現場を見る限りにおいては、中国人ゴルファーの数はもはやそんなものではないのではないか? とも感じます。筆者は上海近郊の状況にしか詳しくないので、中国全国的なこととなるとまた違った話になるのでしょうが、少なくともここ1、2年の中国人ゴルファーの増加スピードには目を見張るものがあり、100万人程度のマーケットではなくなってきていると感じている自分もいます。
もっとも、狭い国土で生まれた日本人にはなかなかつかみづらい感覚ですが、この広い国家では、エリアが異なれば別の国、というくらいの認識が必要です。上海でそうだからといって、中国全体がそうだ、とは決していえないこともしっかりと頭に入れておく必要があります。