※当連載は、一季出版が発行するゴルフ業界誌『月刊ゴルフマネジメント』へ、当サイト管理人の野田道貴が寄稿したものを転載しています
プレミア付きで転売される
iPhone6騒動
この本が出るころには国慶節休暇も終わり、今年も中国人観光客が銀座のブランドショップでいくら使っただの、秋葉原の家電量販店で「爆買い」をしただのといった、もはや定番となりつつあるニュースがひと通り落ち着いたタイミングだと思われます。
筆者はこの原稿を、休暇に入る直前に書いているのですが、たくさんの中国人の知人たちから「国慶節に日本に帰るなら頼みたいものがある」と連日相談をもちかけられました。
帰国のタイミングであれやこれやと買い物を頼まれるのは何もいまに始まったことではないので特段驚きもありませんが、今年の国慶節はちょうどiPhone6の発売直後。中国大陸での発売時期はいまだ定まっていないことに加え、円安効果も重なって世界でいちばんiPhone6を安く入手できるのが日本ということで、それはもう会う人会う人に「ぜひ手に入れてきてくれ」とせがまれっぱなしの毎日です。しかも頼まれるのは1台ではなく、決まって複数台。いちいち取り合っていてはキリがないので丁重にお断りしてはいますが、その購買意欲には今さらながら感嘆するばかりです。
中には「10台でも20台でも、買えるだけ買って持ち帰ってくれないか?」と言ってきた人もいました。高価なプレミアをつけて引き取るという話も耳に入ってきます。免税で購入してくれば、1台あたり4,000元(約7万円)のプレミアをつけて買い取る業者があるという話も聞きました。それが本当ならば、日本への飛行機代はおろか滞在費用が簡単に出るじゃないか、と気持ちが揺らがなかったといえば嘘になりますが、そういった行為は転売業者に譲るとしましょう。
休暇前倒しは当たり前?
国慶節休暇前に、ちょうど東京への出張が入りました。帰国後にたまたま用事があって銀座のアップルストアに足を運んだところ、朝一だというのに店外にまで行列ができていました。ショップスタッフに何の行列なのかを尋ねると、iPhone6の当日入荷分の予約購入者の列だと言います。知らなかったのですが、なんでもアップルのサイトでは、毎日夜の12時に、各店舗の入荷状況を更新して公開しているそうで、SIMフリー端末を欲しい人は毎日チェックを入れ、サイトから購入予約をすると当日分が1人2台まで買えるとのことでした。
驚いたのは、その列に並んでいる8割以上が中国人だったことです。国慶節の休暇中ならまだしも、まだ休みに入る1週間前のことです。日本に住んでいる中国人が、故郷の友人知人に頼まれて、という人もいるのでしょうが、それにしてもその数の多さには唖然としました。スタッフによると、入荷日は毎回こうだ、とのこと。列を裁くにも「日本語を使うことの方が少ないです」と苦笑いでした。
国慶節や春節など、大型休暇のタイミングでは、中国から帰国する駐在員やその家族が一斉に移動するため、航空券が取りづらくなります。それでも、ほんの数年前までは、ピークの日から前後にずらせば、座席は比較的スムーズに確保できたものです。ところが最近は、中国人旅行者が大挙して訪日するため、1日2日の調整では席がなかなか取れません。実は筆者も、今回の出張は国慶節に入る5日前のチケットを取りたかったのですが、まったく席がなく、さらに2日前倒しして移動することになりました。当日空港に出かけてみると、搭乗者は中国人が半数以上。ちょうど知り合いの女性を見かけたので話を聞いてみたら、休みを取って東京に買い物に行くのだといいます。休みは来週からだろうと聞くと「国慶節に入ってしまうと混むから、その前に行かなきゃ落ち着いて買い物ができないじゃない!」ということでした。