VOL.11 iPhone騒動にゴルフが学ぶべきもの

確かに周りを見渡してみると、商用には見えない人が大多数で、彼女のように休暇の混雑を避けて移動している人が増えているのでしょう。それにしても、1週間の前倒しは早すぎるだろうと思ってしまうのですが、もはやそうでもしないことには日本への買い物もままならないのでしょう。

ちなみに彼女に何を買うのか尋ねると、やはり買えるならiPhone6を買うつもりだということです。その後、彼女のSNSで、無事に手に入れた様子を確認しました。やはり、入手方法を事前に調べていたのでしょう。その熱意には頭が下がるばかりです。

やはり消費金額はトップ

さて、前置きが長くなりました。iPhone6の話は旬のトピックではありますが、何もこういった特別なプロダクトではなくても、日本であれこれ買ってきて欲しい、という中国人から頼まれごとをされるのは日常的なことです。彼らの習慣からすると、海外旅行のついでに買い物を頼むことは少しも珍しくありません。海外に行く知人があれば、遠慮なく欲しい物を告げてくるものです。

先日、訪日外国人の日本での滞在期間中における消費額のランキングが発表されました。それによると、中国人がダントツのトップで、19万8,000円ほど。2位のシンガポールとは、約5万円の開きが見られました。この差はすなわち、ショッピングに使う金額の差でもあります。自分のために購入するブランド品の金額もかなりのものかもしれません。しかしそれにも増して、親類縁者へのお土産や、先述したような知人からの頼まれ物が多いのです。身内の人間を大切に扱う、中国人ならではの消費動向と言えそうです。

iPhone6の話も、転売して利ざやを稼ごうという人もいますが、むしろ自分の身の回りの人の分まで手に入れて欲しいというケースがほとんどでしょう。そういった買い方を、中国人はするのです。

中国人旅行者への対応を

中国人旅行者は日本でたくさんの買い物をする。このことはすでに日本人に知れ渡っています。銀座に大型バスでやって来ては、わずかな滞在時間のうちに高額な消費する光景はいまや日常になりつつあります。ただし、ただ厚い財布を持って闇雲に買い物をしているわけではありません。経済的に余裕のある彼らは、自分のためのものだけでなく、周りの人たちの分まで買っているのです。

訪日外国人の中で、他を引き離して消費金額が高いということは、日本という商店から見れば最高の顧客なはずです。たとえば百貨店の上客であれば、外商部がつきっきりで担当し、特別待遇するでしょう。VIPとして大切におもてなしをするはずです。ところが、どうも日本では、中国人旅行者が手厚くもてなされている感じはしません。それどころか、面倒な客だというスタンスすら見え隠れします。

一部にはマナーの悪い客がいて、トラブルの経験もあるのでしょう。とはいえ、すべての中国人がマナーに問題があるわけではありません。むしろ、経済的に余裕のある、最高の上客なはずです。お金を使いたくてやって来ている彼らに対し、「売ってやっている」というような態度では、売れるはずのものすら売れなくなってしまいます。

iPhone6は、中国で買うよりもお得だから、わざわざ日本まで買いに来ます。ゴルフ用品でも、同じことが言えます。実際に、筆者がゴルフ関連の仕事をしていることを知っている中国人たちから、ゴルフ用品の買い物を頻繁にオーダーされます。日本でしか買えないものがあり、それが彼らにとっては格安だと思えるからです。上手に売れば、このマーケットにはかなりの可能性が潜んでいるのです。続きは次回。

クラブユーフォ!管理人・野田道貴
一季出版: 『月刊ゴルフマネジメント』(毎月15日発売)ほか、ゴルフ業界誌や専門書を出版。 http://www.ikki-web.com ※当連載は、一季出版が発行するゴルフ業界誌『月刊ゴルフマネジメント』への寄稿を転載したものです