PM2.5だとか、水質汚染だとか

慣れは怖いか正しいか

中国の大気汚染のひどさがずいぶんと騒がれています。

確かに、結構ひどい状態なのは間違いありません。朝、25階の自宅から外を眺めても、通り1本向こうの建物すら靄がかった世界に滲んでしまってまともに見えなかったりする。気をつけていないと喉の調子をすぐに悪くするし、切っても切っても鼻毛は伸び続ける。こんな空気の中では運動したって逆にカラダに悪いだろうし、この環境の下で育った野菜なんてあんまり食べたくない。

とはいえ、なにを今さら、という感じもしてしまうのです。上海の空気の悪さになんてもうとっくに慣れっこになっているので加熱する報道を見ても正直あまりぴんとこない。というか、たぶんカラダが順応してしまっていて、昔ほど自分が敏感に反応しなくなっているのかもしれません。

これは水についても同じようなことがいえて、はじめて上海に来たときには、洗面所から出る水で歯を磨くなんて考えられませんでした。ミネラルウォーターを少しずつ大切につかいながら、慎重にうがいをしたものです。家中の水を浄化する浄水器の導入を真剣に考えましたが、まあそのうちに、と思っているうちに「ん、案外平気かも」というふうになり、今ではたいして気にならなくなってしまっています。

暮らしてきたマンションによって水の質に差は多少あるものの、いまの部屋なんてバスタブにお湯を貯めても透明に見える。濁ったものが透明に見えるように目が順応してしまったという可能性もなくはないけれど、暮らしに差し支えはないのかな、と思えてしまうレベルです。キッチンにだけは市販の浄水器を取り付けていますが、結局あとの水道はそのまんま。普通に暮らしていけています。

水は機械の力でなんとかなったとしても、屋外の空気はどうしようもない。水銀の花火を打ち上げて雲を散らすことはできるけれど、有害物質をどこかに追いやることはできないみたいです。沿岸部と内陸の格差を考えても、この国が早急に環境対策に乗り出すとはとうてい思えないので、これから当分、空気がよくなることはないでしょう。

じゃあどうするかっていう話なんですが、たぶんどうしようもない。もちろん、環境改善のための取り組みが深刻なレベルで必要なのは自明だけれど、それはそれとして、我々はこの劣悪な空気の中で生きていかなければならず、好む好まないは別としてカラダはそれなりに適応してしまうのだから人間ってすごい。

ええと、日本の方々から心配の声というか「よくそんなとこで暮らせるね」的な様子伺いをちょぼちょぼといただきますが、かあさん、案外元気に生きているわけですよ。