第33回『ザ・オフィス』

やっぱりスティーブ・カレル!

ここまで読んでこられた方はスティーブ・カレルの名前ぐらいは知っているという前提で話を進めていきますね。知らない方は、困ったな…とりあえずウィキペディアなどざっと読んで、彼について勉強してください。彼の演技で1番面白いのは「目が笑わない笑顔」です。と私は勝手に思っています。

スティーブ・カレルが最初に注目された映画といえば、2003年のジム・キャリー主演『ブルース・オールマイティー』。主人公からニュースキャスターの座を奪ってしまう憎まれ役を演じましたが、キャスターとしての栄えある第一回登場を魔法を使える主人公にめちゃくちゃにされるというシーン。あまりの怪演に、アメリカンコメディーの伝説的シーンとして語り継がれることになりました。字幕なしですが、充分変なので貼っときますね。

翌年公開でアメリカでは大ヒットとなった『俺たちニュースキャスター』では、頭の弱い変人お天気キャスター役を射止めました。この時のオーディション映像もまたカレル伝説のひとつ。ゴミ箱に入っていたホットドッグをそうとは気づかず美味しそうに食べるというネタなんですが、『ブルース・オールマイティー』撮影と同時期の動画だと思われます。貼っときますんでお勉強してください。

で、カレルの名前を世界に轟かせた珍映画『40歳の童貞男』が2005年に大公開で大ヒットなわけですよ。この映画、主演だけじゃなく脚本と製作総指揮も務めました。今話題の中年童貞に、今から10年も前にすでにスポットを当ててたんですね。素晴らしい先見の明です。同じ年つまりカレルが大きく飛躍した年のもうひとつの主役が『ザ・オフィス』。賞とか獲ったりして、ここからドラマでも伝説を作っていくわけです。で、2006年はサンダンス映画祭の小品から一気にアカデミー賞へと駆け上がった『リトル・ミス・サンシャイン』での初めての「まともな大人」役。といっても、恋人に振られて自殺未遂するゲイの哲学研究者の役なので充分変ですが、初めてのコメディーメインではない役で注目を浴びました。さらにその翌年の2007年には、『ブルース・オールマイティー』からのスピンオフとして『エバン・オールマイティー』に主演。小さな脇キャラからの大出世です。

ちょっとそこからノタノタしましたが、去年はやってくれましたよ!カンヌで監督賞を獲った大作『フォックスキャッチャー』でアカデミー主演男優賞ノミネート!!つい最近話題になったばかりの映画なんで、ご覧になった方もいるかな?

見た目から別人です。つけっ鼻とか髪型とかいうレベルじゃなく。気配が全く違うので予告を見ても誰か分かりませんでした。初めての悪役、狂気の男を文字通り「怪演」して、コメディー俳優としては異例のオスカーノミニーとなりました。

そんな超一流俳優となったスティーブ・カレルにとって、記念すべき節目にあるのがこの『ザ・オフィス』なわけですよ。面白いし、是非見ていただきたい!途中で主役がジェームズ・スペイダー(若くてかっこよかった頃の彼)に変わってしまいましたが心配ご無用。今そこまでは日本では見られませんから。視聴可能なのはHuluにて第2シーズンまで。まことに中途半端な終わりでキーとなりますよ。Huluでは今SNLも見られますけど加入しろとは決して言ってないです。今年秋にネットフリックスも参入するみたいですし、ネットフリックスは独自ドラマの良作を一杯持ってますし(過去記事『ハウス・オブ・カード』参照)。しかしHuluでは本家版『ジ・オフィス』も見られます。途中までですけど。ほんとHuluの途中でブチ切り体制はやめてほしいです。

松下祥子@猫手舎
WEB専業コピーライター兼ライター。大手検索サイトでのWEBマガジン立ち上げを経て独立、ポータルサイトでのコミックレビューコンテンツをはじめ、WEBサービスや広告にこまごまと参加。得意分野は映画、ドラマ、本、旅行、オカルト、犬、昼寝などなど。