第27回『11人もいる!』

クドカンキャストがいないということ

何がTBS制作のクドカンドラマ達との差を作っているのか?磯山Pがいないと端的に指摘するだけでは割り切れない何かが、依然として気になって仕方ないので考察を続けます。

まずざっくりあらすじを説明しますと、父さん(田辺誠一)に稼ぎがないもんで高校生の長男(神木隆之介)が10人家族を支えているはずが集合するとどうも一人多くて、それが先妻の霊(広末涼子)で霊能力があるらしい末っ子(加藤清史郎)とだけ交信していて、そんな貧乏大家族の悲喜こもごもを描くとか、そんな内容です。テレ朝といえば『ビッグダディ』ですから、そこと引っ掛けてあるんですね。実際ドラマ中にもテレビで人気の「ダイナミック一家」というのが出てきます。いかにもクドカンらしい設定です。

しかしこのドラマには、脇役陣に舞台系クドカン組役者がとても少ないんです。大人計画からは皆川猿時一人だけ、あとは劇団員ではないけど大人計画事務所に所属している星野源と、『吾輩は主婦である』(フル動画コチラに出演した高橋一生、そのぐらいでしょうか?クドカンのドラマは脇役がテンポを作るといっても過言ではなく、やはりこの3人も劇団上がりの、間がキレキレな、反射神経抜群の演技を見せてくれます。でも3人じゃ、足りないんですね。なんか、全体的にテンポがゆっくりで。なんでこんなにゆるテンポなんだろう?と、見ながら不思議で仕方ありませんでした。台詞を聞いてると独特のギャグもたくさんあるけど大抵スルーしていく感じだし、そこが、個人的に言うところの河原雅彦臭なんです。ああ彼のドラマはキレッキレじゃないとこうも普通になってしまうんだと。ドラマにおける演出の重要さを教えていただいたような。

これが磯山不在の影響なんだとしたら、一体プロデューサーって何する人なんでしょうね?演出は演出の人がやるんだと思ってましたが……ドラマにおいてプロデューサーがどこまでの仕事をやるか厳密にご存知のかたがいたら、メールで教えてください。

こういう文句たらたらなレビューになるととたんに面白くなくなることは自覚しております。申し訳ないので、せめてものお詫びに韓流メインストリームでありながらエロすぎるのが話題になった映画『双花店』のタイ語吹き替えバージョンを貼っておきますネ。タイ語が分かる人以外は23分あたりから見ればガツンといい感じです。

松下祥子@猫手舎
ほぼWEB専業コピーライター兼ライター。大手検索サイトでのWEBマガジン立ち上げを経て独立、ポータルサイトでのコミックレビューコンテンツをはじめ、WEBサービスのブランディングや広告にこまごまと参加。執筆の得意分野は映画、ドラマ、本、旅行、オカルト、犬、二度寝などなど。