”Everybody Lies” 患者は嘘をつく
このドラマの主人公であるハウス先生はいわゆる「型破り」の「天才」さんです。どの医療ドラマでもお馴染みの設定ですが、ハウス先生の特徴は「無礼」「診察拒否」「障害者」「薬物依存」などなど。「診断」というパズルを解くためなら違法行為も厭わない、なかなかのダークガイ。そこが魅力です。
片足を引きずって杖をつきながら痛み止めをラムネのようにかじる姿だけでもインパクトがありますが、病気には興味があるけど患者は嫌いという設定も新しい。放射線科、腎臓内科、感染病科専門医であり解析医療部門部長というマニアックな肩書が表す通り、病気の診断にかけては天才的な能力を発揮しますが、外来どころか主治医としての患者への面会も頑なに拒否です。無理やり外来に入れられても、患者の前でゲームばっかりして挙句暴言まで吐く始末。私が患者なら即ドクハラで告訴します。
少ない手術シーンのかわりにこのドラマを盛り上げるのは「検査」と「投薬」。検査は想像つきますね、えぐいやつ。生検。コワー!骨髄穿刺。痛い痛い!!閉所恐怖症の人を発狂させると名高いMRIのシーンもやたらリアルです。私は画面を見てるだけでパニック発作が起きそうでした。生検シーンで一番エグかったのは、眼底の組織をとる検査です。目ん玉にふっとい針がまっすぐ刺さってくるんです。「怖いだけで、痛くはないからねー」なんて言われてもね、何言ってんだかですよ。正直、見ていて病気よりも検査が怖くなりました。
「投薬」はもっと恐ろしいです。放送時間のおよそ四分の三くらいは原因不明状態なので、こんな感じかな?と手探りで投薬にトライするとエラーエラーエラーでどんな投薬も裏目に出て、十中八九痙攣が起こってその後は呼吸停止もしくは心停止ですからね。そんななか、このドラマのキーワードである「Everybody lies(人は誰でも嘘をつく)」が出てくるのです。ハウス先生は重大な情報が隠されていることに野生の勘で気づきます。そこから天才的ひらめき(ひらめき遅えよとか言っちゃダメ)でエイヤっと病名を見つけ出し、ぎりぎりセーフで患者救出…できればいいですけどね。毎回できるわけではありません。ガックシ。
とりあえずね、皆さん病院に行くときは、しょうもない隠し事はやめましょう。どこかのお医者さんに聞きましたが、診察で聴診器使ったりお腹叩いたりするけどあれはポーズみたいなもんで、9割方問診で病気のあたりをつけるんだそうです。そのくらい、患者の情報は正確じゃないとダメだってことですね。嘘つきは泥棒の始まりならぬ、嘘つきは地獄への入り口。おーこわ。