第15回『神のクイズ』

「名探偵」が繰り出す技は「稀少疾患の発見」

さて、遅まきながらあらすじを。10才でKAIST(韓国版MITみたいなところ)に進学した若き天才脳外科医ハン・ジヌ(リュ・ドックァン)が、稀少疾患を専門に扱う法医官事務所の嘱託医になり、軍隊出身の女性刑事カン・ギョンヒ(ユン・ジュヒ)を相棒に、華麗に事件を解決していくというもの。シャーロック・ホームズから続く、型破りの天才頭が固い助手という見慣れた組み合わせながら、『神のクイズ』の「名探偵」ハン・ジヌは、鼻持ちならないけど憎めないお調子者という設定で個性を出しています。お固い世界でやたらラフな行動をとるところが何となく「HERO」のキムタクを彷彿とさせます。”下敷き”のひとつなのかな?

この話のキーになる「稀少疾患」は難病のなかでも極めて症例の少ない病気のことで、奇病を抱えた被害者たちが受けていた激しい差別を描くという社会派な一面もあります。韓流十八番の「難病」と「迫害」の登場です。うっかりするとくどくなりそうな雰囲気ですけどご安心を。1話完結のおかげで丸く収まり、ジヌの繰り出す軽い雰囲気の重石として物語に深みを与えます。

シリーズを通してのテーマとなるのは、ジヌの脳に仕掛けられた「爆弾」と、それを狙う悪いやつらとの攻防です。毎回ヘタレが全開になるくらい追い詰められるジヌですが、シーズン3ではサイコキラー大集合の脳みそ大戦争みたいになるのがチャーミング。ジヌの人格も「いいジヌ」と「悪いジヌ」に分裂しちゃう。リュ・ドックァン演じる一人二役演技は鳥肌モノでした。

これ、日本でリメイクするとかなり行けそうです。日本でも大流行の法医学もの、社会から隔絶された悲しき被害者を救う「お気楽な」正義の味方。ジャニーズ用の椅子にぴったりじゃありませんか。キムタクは老けすぎててあれですけど、韓流リメイクの『魔王』が成功した嵐の大野君が思い浮かびます。あれは弁護士役だったので見た目学芸会みたいでしたがその点『神のクイズ』は大丈夫。若き天才という設定だし、何よりジヌ役のリュ・ドックァンは小さいんです。登場人物の誰より低身長。『怪物くん』ほどじゃないにせよ大野君でも十分ハマれる見た目設定だと思います。

(演技力は大野君も『怪物くん』第三話で一人二役を演じて「恐るべき才能」とか言われてたので、”驚異の演技力”とやらを拝みたい方はコチラでチェック。

松下祥子@猫手舎
WEB専業コピーライター兼ライター。大手検索サイトでのWEBマガジン立ち上げを経て独立、ポータルサイトでのコミックレビューコンテンツをはじめ、WEBサービスや広告にこまごまと参加。得意分野は映画、ドラマ、本、旅行、オカルト、犬、昼寝などなど。