さて、ここに新規売出し価格50万元の会員権があるとします。当然のことですが、新規での売出しは、購入者が規定数に達した時点で打ち切られるはずです。以後、そのコースの価値は市場に委ねられ、売買市場で取引されることになるでしょう。そのときの市場価格によって、はじめてそのコースの正統な価値が計られることになります。
2010年開業の「覧海国際」は、リンクス風のコースに豪華なクラブハウスを備える。会員権価格は2,000万円超えクラスだ。※写真と本文は関係ありません
ゴルフ場は誰のものか?
メンバーよりもオーナーが優位?
中国にパブリックコースは存在しないので、すべてのゴルフ場はメンバーシップコースです。それらは当然、メンバーのためのものであり、その権利が最優先されるはずだと考えるのが当然です。
ところが、中国のゴルフ場では、オーナーが最高権力者であり、その利益のために運営されているフシがあります。そう考えないことには理解ができないことが多々あります。
たとえば、新規の売出しにしても、定員達成後もいつまでもその募集が止まらない状況があります。こうなると、高額で会員権を購入したメンバーはたまったものではありません。プレー枠はどんどん取りにくくなり、コースには常にプレイヤーが押しかけ、メンテナンスも行き届かなくなります。もちろん、コース側は募集を継続していることを明らかにはしないでしょう。でも、実際に新たなメンバーが増え続けている事実をどう説明できるというのでしょうか(しかも販売価格を下げて売っているとしたら?)。
あるいは、本来メンバーが優先的にプレー権を持つのはもちろん、最も安い費用でプレーできるはずなのに、その権利が担保されていないとしたらどうでしょうか。実際、ある銀行のVIP会員の方が、メンバーよりも優遇されるということがしばしば起こっています。それにもかかわらず、メンバーの年会費を毎年のように引き上げるコースも少なくありません。こうなると、もはやメンバーであることの価値とは一体何なのでしょうか?
通常であれば、こうした「異常な」事態は許されるものではありません。ところが、メンバーよりもオーナーの立場の方が強いとなるとどうでしょうか? 権利とはいえない「会員権」でしかない弊害は、こういったところに如実に表れています。現時点で、ゴルフ場経営は圧倒的にオーナー側に有利に働いており、メンバーシップの正当性はこの国には存在していないといわざるを得ないでしょう。
そんな「権利もどき」が2,000万円もする世界。どこかの国でかつて見た、過去の狂躁を思い出して不安になってしまうのは不自然でしょうか?