VOL.10 「ゴルマジ!20」の成功は訪日中国人ゴルファー次第!?

ゴルフ×ショッピング
「雪マジ」からの学びの本質

同様の手口で、ゴルフに若年層を引き込めるか否か。それはゴルフそのものの楽しさを体験してもらえるかが最大の鍵です。本質的にはそうですが、それが世の中の時流に乗っているのかどうか? ということも大きな要素になるでしょう。スキーには、改めてブレイクしてもおかしくない下地がありました。いまゴルフにそれがあるのかどうか。若い世代がライフスタイルの一部に組み込んでもいいと思ってもらえるほどには、いまのゴルフは世の中でのプライオリティを獲得していないのではないかというのが筆者の意見です。

さて、話を冒頭に戻します。2013年、初めて訪日外国人数が念願の1,000万人を突破しました。2014年は年間1,200万人ペースで推移しています。この7月の発表では、月別では過去最多の127万人の外国人が訪日し、うち中国人が最大で28万人を占めました。いま日本にやって来る旅行者の最大勢力は中国人です。そして彼らの中には、潜在的に日本でゴルフをする可能性のある人間が多いのです。

オーストラリアの旅行者がニセコを見つけたように、中国人が日本のゴルフを発見する。そして一大ブームになるという可能性は決して少なくないと筆者は考えています。この連載で繰り返し延べてきたように、中国と日本のゴルフ環境を比べれば、圧倒的に日本が優位だからです。

とはいえ、ただゴルフを押し出すだけでは難しいでしょう。なぜなら、そこまでコアなゴルファーの数はまだまだ限られているからです。ゴルフだけを目的に来るのではなく、宿泊やグルメ、ショッピングを一緒に楽しみたい。そう思っているゴルファーは少なくありません。彼らを複合的にどう取り込めるかが、中国人ゴルファー誘致の鍵になります。何より最大の魅力はショッピングであることは疑いようがありません。

ゴルフに凝れば凝るほど、道具やウェアへのこだわりも強くなります。残念ながらいまの中国では、コアなゴルファーの物欲を満足させられるほどのモノが質も量も足りていません。必然的にその目は海外に向きます。そして何より、いちばん近い外国である日本に、世界でいちばん充実した買い物環境があるのだから魅力でないはずがありません。ゴルフのついでに、ゴルフ用品を買い漁って帰る。ごく自然な行動原理です。コースに人はやって来る。用品は売れる。ゴルフ業界にとって、これほど望ましい状況があるでしょうか? 

外国人の取り込みは、実は国内需要の掘り起こしにもつながるはずなのです。ニセコのオーストラリア人が、雪質+総合リゾートとしての潜在力の高さに目をつけ、日本のゲレンデに活気を呼び戻してくれたように、中国人が日本のゴルフ+買い物環境の良さを認め、リピーターになる。訪日外国人が日本のゴルフの評判を高めてくれれば、やがて内需にも飛び火するでしょう。「雪マジ」の成功から学ぶべきなのは、むしろ外国人が用意した背景だと思うのです。

クラブユーフォ!管理人・野田道貴
一季出版: 『月刊ゴルフマネジメント』(毎月15日発売)ほか、ゴルフ業界誌や専門書を出版。 http://www.ikki-web.com ※当連載は、一季出版が発行するゴルフ業界誌『月刊ゴルフマネジメント』への寄稿を転載したものです