中国のゴルフ場営業はどうなるのか!? 緊急セミナーレポート

▼2015年1月19日(月)/オークラガーデンホテル上海(花園飯店)/ユーフォリア・プロダクションズ、サンディアメンバーシップ共催

このところ、急激に慌ただしい中国ゴルフ場規制強化について、現状把握のためのセミナーを1月19日に開催しました。香港・中国のゴルフコース会員権を専門に取扱い、中国ビジネスに精通するサンディア・メンバーシップの笠原次郎氏をコメンテーターにお迎えし、この一連の規制強化の背景と今後の対策についての考えを述べるとともに、参加者同士の情報交換を行いました。

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<セミナー開催の背景>
2014年より、中国国内全国のゴルフコースに対し、閉鎖や改善命令などの措置が下され、ゴルフ場営業に支障をきたしている。いま、中国ゴルフに何が起こっているのかについて、整理した情報の開示を目的とする。

<2014年の一連の動き>
5月、北京の5コースが閉鎖。
7月、国家発改委より「ゴルフ場清理整治措置実行通知」が発布。
8月、湖北省のコースに対し「取締」1箇所、「整改」12箇所の通知。
11月10日、広東省のコースに対し「取締」5箇所、「退出」8箇所、「撤銷」7箇所の通知。
11月11日、深圳市のコースに対し「退出」6箇所、「整改」9箇所の通知。
この深圳市への措置に際し、
『関于高尔夫球場清理整治工作有関精神的伝達及工作建議』
(ゴルフ場清理整治工作に関する精神伝達および工作建議)
という政府文書が一般に流出し、詳細が明るみに出る。
12月、上海市のコースに対し「退出」3、「整改」21箇所の通知。

■POINT
・措置には「取締」「退出」「撤銷」「整改」の4つがある。
・上海では、「上海国際(青浦)」「東方」「上海太陽島」の3箇所に「退出」措置が下された

<具体的な措置の内容>
政府文書と思われるものはネット上にて多数見受けられるが、出典が不明なものや、内容の信憑性が疑わしいものも多く、真実と噂が混在している。そんな中、11月に深圳で出された『関于高尔夫球場清理整治工作有関精神的伝達及工作建議』には、4つの措置について一部ながら具体的な記載があり、貴重な資料である。
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「退出」
・国弁発[2004]1号文件公布以前に着工したもの。
・ゴルフ場建設後に”飲用水水源保護区および国家級風景名勝区”が制定されたもの。
・現行法規には適合しないが、建設当時は”飲用水源および風景名勝保護規定”に違反してはいなかったもの。

上記に該当するものは「退出」処分とする。 

退出処分のゴルフ場は”飲用水源および風景名勝保護規定”に照らして保護措置、管理強化、除染、景観保護を行い,規定に触れる土地を原状に戻し、建築物を取り壊し、立退かねばならない。
退出作業は2015年6月30日までに終えねばならない。
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「整改」
取締、退出、撤銷以外のゴルフ場については「整改」措置を行う。

整改のゴルフ場は、違法に占有する農地、森林を原状に復旧して立ち退き、農民に返還しなければならない。ゴルフ場の排出した汚染物質は環境基準を満たすよう除染し、取水に関しても厳格に節水措置を施さねばならない。

「整改」措置を着実に行ったゴルフ場は、国家が新たに策定する“ゴルフ場建設に対する意見の発表”を待ち、規定に適合させた後、再申請し許可を得なければならない。
規定の期間内に措置を終えられないもの、あるいは整改の過程で重大な法律違反の隠蔽が発覚した場合、取締処分に変更する。
「整改」措置は2015年6月30日までに終えねばならない。

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■POINT
・「退出」は、2004年のゴルフ場新規建設禁止に関する通達以前に着工されたコースに対しての措置
・「整改」は、残り3つの措置以外のコースに対して(つまり残りすべてのコース)
・「整改」措置を行ったうえで、国が策定する新たなガイドラインに沿って許可申請をする

ここに「取締」「撤銷」に関する記載はないが、すでに閉鎖されているコースが事実上の「取締」処分に当たると考えられる。また、今回の4つの措置から免れたコースはなく、すべてのコースに対して何らかの処分が下されるものと理解できる。

<規制の根拠と背景>
この一連の規制強化は、目新しい施策ではなく、以前より通達が出されていたものが改めて実施に移されたに過ぎない。関連通達としては、
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・2004年
 中国国務院通達『関于暫停新建高尔夫球場的通知』(国弁発[2004]1号通知)
 各省、地方政府に対し、「04年1月10日以降、ゴルフ場開発プロジェクトの許認可禁止。
 認可済みでも未着工の場合には、工事を差し止め」との内容
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・2011年04月11日
 国家発改委通達『関于開展全国高尔夫球場総合清理整治工作的通知』(発改社会[2011]741号)
 全国規模で既存のゴルフ場の整理を指示。
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この2つの通達が基礎となっており、2014年の一連の措置は、具体的には2011年の(発改社会[2011]741号)に則っている。

<2011年4月11日/発改社会[2011]741号について>
ゴルフコースの環境保護についての原則が記されたもの。
(一)農地と森林資源の厳重な保護
(二)自然保護区や飲用水源保護区内のゴルフ場についての監査
(三)≪都市・周辺地計画法≫≪土地管理法≫≪環境保護法≫≪水源法≫≪森林法≫等法規の遵守

また、この通達の最後にはこう記されている。
「国家発展改革委員会は、関連部門と共同で研究し“今後のゴルフ場建設規則と意見”を発表する。“意見”公布までの間は、各地方は≪通知≫および関連通達の厳格な執行を継続しなければならない。何れの地方政府も、ゴルフ場建設の許可承認を勝手に行ってはならない」

■POINT
・土地利用、および環境関連法規についての遵守の徹底
・国が新たなガイドラインを発表するまでは、地方政府の許可認証を許さない
 (ガイドラインを発表する、という表現)

<まとめとして>
・上海では「退出」「整改」の措置に分けられたものの、具体的に処分が実施されたところはない(南公館はすでに閉鎖済み。おそらく「取締」処分に当たると思われる。
・青浦に対しては、3月末でのクローズという情報が入ってきている。ゴルフ場サイドの裏も取れており、おそらく青浦の閉鎖は避けられない模様。
・東方と上海太陽島に関しては、いまだ明確な処分の情報は入ってきていない。
・中央政府の厳しい姿勢に対して、地方政府が具体的にどう対応するかが今後のカギ

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