ゴルフはなぜ、紳士のスポーツなのか?/上海ゴルフマナー

ルールブックの第一章に書かれているのは……?

「ゴルフは紳士のスポーツ」だということばは、よく耳にされているかもしれません。でも、それはなぜか? という問いに、明確に答えられるでしょうか? ブレザーにネクタイ、ハンチングにニッカーボッカーというオールドスタイルを真似れば、スコットランド風の紳士に近づけるのでしょうか?

その答えのヒントは、ルールブックに書いてあります。ゴルフのルールは、世界統一の正式なルールブックにまとめられており、日本ではJGA(財団法人・日本ゴルフ協会)が毎年発行している『ゴルフ規則』という冊子がそれに当たります(JGAのオンラインショップほか、ゴルフショップなどで販売されているほか、JGAのウェブサイトでもその内容のすべてを閲覧することが可能です)。

さて、ルールブックとは、本来競技についての規定が書かれているもの。なぜそのルールブックに、「ゴルファー=紳士」の答えが隠されているのでしょうか。
ルールブックの構成を紐解いてみましょう。
その目次は、

第一章 エチケット

第二章 用語の定義

第三章 プレーについての規則

となっています。つまり、ルールよりもまず、エチケットについて記載されているのです。さらに第一章は、このような形で始まります。

ゴルフの精神
ゴルフはほとんどの場合レフェリーの立ち会いなしに行われる。また、ゴルフゲームは、プレーヤーの一人一人が他のプレーヤーに対しても心くばりをし、ゴルフ規則を守ってプレーするというその誠実さに頼っている。プレーヤーはみな、どのように競い合っているときでもそのようなことに関係なく、礼儀正しさとスポーツマンシップを常に示しながら洗練されたマナーで立ちふるまうべきである。これこそが正に、ゴルフの精神なのである。(2013年版ゴルフ規則より引用)

「紳士的」であること

いかがでしょうか? ゴルフとは、審判のいないスポーツです。自分の審判を自分自身で務めるという、他に類を見ない競技だといえます。己を裁くためには、まず「ゴルフの精神」に則ることが大前提だとルールブックが冒頭で説いており、そのために「紳士的であること」が求められているというわけなのです。

この、項目の記載順番が重要で、ルールブックはつまり、ルールよりもエチケットが大切である、ということを暗に物語っています。プレイヤーがエチケットを守り、正しいマナーで振る舞うことが、ゴルフを楽しむためには何よりも欠かせないと言っているのです。

「洗練されたマナーでふるまうべきだ」という前提から出発している以上、あらゆるゴルファーは紳士的であれと求めらるのは当然のこと。ゴルフの成り立ちそのものの根底にあるスピリットが、すなわちゴルファーを定義付けているのです。