人民元ホルダーの一喜一憂
急激な円安が進んでいます。
記憶は定かではありませんが、自分が中国へ移住した2006年の秋当時の為替レートは1元=17円程度だったかと思います。あのころは、そのまま元が上がり続けるとばかり思っていて、いまのうちに手持ちの資金をとっとと人民元に換えちゃったほうがいいんじゃないかとさえ思っていましたが、その後は意外なことに円が強い状態が続きました。
やがて1元=12〜13円程度で長らく定着してしまったレートにすっかり慣れてしまうと、もちろん為替というのは常に動くモノなので、その都度上下はあるものの、そのレンジでしか考えられなくなってしまうものです。
それが、このところの円安基調で、あっという間に1元=15円が見えてきました。海外暮らしをするまでは、為替の値動きがどうこうといわれたところで円高になれば輸入品が安くなるよなあ、とか、その程度の関心しかなかったものですが、収入のほぼすべてが外貨となってしまった今となっては日常の生活はおろか人生設計までが為替によってダイレクトに左右されかねないものになっています。
個人レベルでの話もさることながら、仕事上の影響も小さくありません。たとえば、うちでいうと雑誌の広告を日本からも買っていただいています。中国であれば12,000元で設定している広告枠を、1元=12.5円で換算したとすると日本円で15万円になります。もう、このレートが頭にこびりついていて、たいして深く考えずこの値で契約したのに、決済のタイミングになると1元が15円近くなっている。。。単純計算で、2,000元が消えてなくなるわけです。
そんなもん、為替リスクをしっかり折り込んで契約額を設定しろよ、という話でしかないのですが、為替なんて所詮水モノ、どっちに針が振れるかなんて丁半博打みたいなもんだし、そりゃあ多少の振れ幅は折り込んでいるつもりでも、こんなスピードで動かれてしまうとどうしようもないわけです。レートを改めて見つめてみて、ああ、為替に固定イメージを持っちゃいけないんだな、、、ということを今さらながら思い知らされる次第です。
で、そんな案件がいくつか重なると、あっという間にスタッフが1人雇えるくらいの金額になってしまうわけで、結構洒落にならなかったりしています。
為替が1円ブレると億単位で利益が消失する、なんていうスケールの話ではありませんがうちみたいな極零細企業には極零細なりに為替変動によって受けるダメージは大きくて、なんとも頭の痛いところです。
もちろん、為替なんて裏表なので、人民元が上がっていることによって受けるメリットだって当然あります。円安元高ということは、人民元ホルダーにとっては日本での消費が有利になることに他ならず、たとえば同じ10万円相当の買い物であっても1元=12円ならば8,333元かかっていたものが1元=15円まで下がってくれれば6,666元で済んでしまう。これは大きいですね。
もうすぐ春節休暇。
当然、中国人の旅行者としても、この円安の局面はありがたいので、インバウンド業界まわりではこの春節商戦はちょっと盛り上がるのでは、と期待するところです。
個人的にも、春節の日本行きでは航空券やホテル代が円安の恩恵に預かれるなあと一瞬思ったのですが、よくよく考えたら円建てのクレジットカードで決済しちゃったのでどっちかというとむしろ損した気分。
為替って難しい。。