浅草再発見①

寝床探しはむずかしい

本日より帰国中、浅草にいます。

昨年の夏までは都内に実家があったので、出張帰国の際には実家に身を寄せればそれですみました。いい歳して毎回毎回実家に転がり込むのもどうかというのはありましたが、それでも誰が経費を出してくれるわけではない出張においてホテル代というのは決してバカにはならない。

まあ都内とはいっても限りなく埼玉寄りで、決して便利な場所ではなかったけれど、それでもなにも考えずに寝泊まりできるところがあるというのは大変都合がよかった。

それが、うちの両親が九州に隠居してしまったものだから、出張のたびに宿探しをしなくてはいけなくなりました。
そもそも、これまではまがりなりにもホームタウンだと思っていた土地に帰ってくるというのに、お金を払って宿を取らなくてはならないというのがなんだかどうにも解せない。

とはいえ、寝床は確保しなければならないし、仕事である以上ただ寝られればいいというわけでもなく、それなりに荷物もあるし部屋で多少の作業ができる環境じゃなければ困るので最近はやりのバックパッカー向けドミトリーというわけにもいかず、かといって予算には思いっきり制約があるのだからなかなか難しい。

時間に限りがあるから交通の便がいいところの方がいいし、遅い時間でも飲み食いできる店が近くにある方がいい。かといって繁華街に泊まるのはどうも落ち着かない。

「東京で泊まる」というのは突き詰めて考えれば考えるほどかようにして思いのほか難しく、この半年以上、帰ってくるたびにこの「宿さがし問題」には頭を悩ませてきました。

さて、先月の帰国時のこと。例によってどこに泊まろうか、受験シーズンでどこのホテルも料金が吊り上がっていて困ったなあと思案していたところ、「そういえば、浅草があるじゃないか」とふと思いつきました。よくよく考えれば交通の便だって悪くない(羽田も成田も1本)し、なにより食べる(飲める)お店にはまったく不自由しないのがいい。

これまで生活圏であったことはないけれど、毎年の初詣は長年浅草寺だったし、学生時代は定期的にバイトに来ていたこともあり個人的には馴染みのある街なので、海外暮らしの根無し草としては「帰って来た」という感じがするのが何より気分的に落ち着く。

ということで、実はこれほど根城にするのに相応しい場所はちょっとないんじゃないかということで、前回から浅草に泊まっています。

短期滞在の出張者にとっていろいろな面で便利だ、という面はもちろん、実はもうひとつ、浅草に泊まる理由があるのです。

(つづく)