「セルフプレー」を考える

中国にないセルフの習慣

ゴルフには、大きく分けて2つのプレースタイルがあります。セルフプレーと、キャディ付きプレーです。

年輩のプレーヤーにとっては、ゴルフにはキャディが帯同するものだという感覚が一般的かもしれません。また、中国ではじめてゴルフを覚えた方にとっても、キャディがいるのは当然のことだと思えるでしょう。ここ中国では、セルフプレーという習慣そのものがありません。どのコースでプレーしても、かならずキャディが帯同します。なかにはプレーヤーひとりに対しキャディがひとり付くという、日本では考えられない贅沢が許されるコースもあります(当然、割高なキャディフィーが加算されるわけですが)。

一方で、ゴルフのカジュアル化が進む最近の日本では、キャディの帯同しないセルフプレーが主流になってきています。特に若いゴルファーにとっては、キャディ付きのプレーを経験したことがないという方も多いはず。キャディフィーがかからない分安価にプレーできるという利点はもちろん、仲間内だけで気を使わずにゴルフを楽しめるというのもあって、いまやゴルフにキャディは不要だという考え方すらあるかもしれません。

となると、中国でゴルフを覚え、日本に帰国してプレーをするという状況になったときに、はじめてセルフを経験するという方もいるでしょう。セルフの習慣を知っていなければ戸惑うこともあるかもしれません。そこで今回は、セルフプレーについて考えてみたいと思います。

アイアンマンで初セルフ

中国にセルフプレーはない、と書きましたが、先日実施した「アイアンマンカップ」は、特例としてセルフプレーをコースに認めてもらっています。そもそも、自分でクラブを担いでプレーするという趣旨の競技なので、必然的にセルフプレーでなければ成立しないのです。

さて、自分で担いで、歩いて27ホールを回るという特殊な状況でのプレーがはじめてだというのはわかりますが、セルフで回ること自体が初体験だという方も少なからずいらっしゃいました。上海で初めてクラブを握ったという方にとっては、アイアンマンという特殊なイベントが、実はセルフプレーデビューだったわけです。

真夏の炎天下にシビアな状況でプレーするわけですから、通常のゴルフのようにスムーズに進行が行かない場面が出てくるのは仕方がないことかもしれません。しかしながら、今回のアイアンマンで、セルフプレーそのものに慣れていないがために進行がもたついてしまっていると思われるケースにしばしば遭遇しました。「セルフで回れる」ということは、キャディの助けなしにスムーズにプレーができるというのが大前提です。以前このコーナーでも書きましたが、後ろの組に迷惑をかけないことは、ゴルファーの義務です。キャディがいないがために進行に支障をきたすようでは、セルフでプレーをする資格がないということになります。逆説的にいえば、セルフでスムーズに回れる人は、ゴルファーとして合格ということです。

目指せセルフ上手

セルフプレーで気をつけるべきことを覚えておくことは、セルフの習慣がない上海でも有益なことです。そこで改めて、セルフの際に必要なことをまとめてみます。

基準はすべて、後続に迷惑をかけないためにどうすればいいか、ということ。バンカーをならすのも、ディボット跡に目土をするのも、すべて後ろのプレイヤーのため。プレーのスピードに気をつけるのも同じことです。

特に進行については、ささいなことであっても、ひとつひとつの行為の積み重ねが大きく影響します。たとえば次のホールに移動しやすい場所にカートを停めるなど、ムダを省く気配りが、セルフ上手のコツであり、ジェントルゴルファーへの近道なのです。

「セルフプレー」で気をつけるべきこと
・バンカーの砂は自分でならすこと。
・少なくとも2、3本はクラブを持ってボール地点へ向かうこと。
・ディボット跡には目土をすること。
・ボールマークは自分で直すこと。
自分のものだけでなく、目についたものは修復すること。
・ホールアウト後は速やかに次のホールへ。
スコアカードの記入は後回し。