VOL.10 「ゴルマジ!20」の成功は訪日中国人ゴルファー次第!?

※当連載は、一季出版が発行するゴルフ業界誌『月刊ゴルフマネジメント』へ、当サイト管理人の野田道貴が寄稿したものを転載しています

大成功の「雪マジ!19」に
ゴルフも続けるのか?

中国人ゴルファーにとって、いまの日本のゴルフ環境は素晴らしく魅力的に映っています。停滞する日本のゴルフ業界を、外からの力を借りて活性化させる。彼らに訪日ゴルフ旅行を売り込むことは、日本のゴルフ業界の活性化に一役買えるはずです。

ゴルフ活性化の最近のトピックとしては、リクルートが主導する「ゴルマジ!20」というキャンペーンが話題になっています。二十歳限定でプレー費を無料にするというこの企画は、ゴルフを「自分たちのものではない」と思い込んでいる若年層に対し、ゴルフを身近に感じてもらうことがテーマです。ゴルフを始めるきっかけを、学生のうちに経験してもらおうという趣旨ですが、背景にはスキーで実施した「雪マジ!19」という、19歳の若者を対象にした無料キャンペーンの成功があります。なぜ若者はゲレンデに行かなくなったのかの調査結果を元に、経済的な障壁を取り払えば若者はゲレンデに遊びにくる、という仮説に基づいて実施されたキャンペーンでしたが、果たして無料で雪遊びを覚えた19歳の若者たちの実に90%以上が、翌年もゲレンデに戻ってきたという実績があります。

さて、この「若年層掘り起こし」企画の趣旨については、全面的に賛同しながらも、不安要素がないわけではありません。

ニセコのオーストラリア人が
日本のスキーを甦らせた

まずひとつ目に、ゴルフがかつてスキーほどに若者の間でブームになったことがないということ。言うまでもなく、スキーもゴルフも日本における最盛期はバブル期ですが、スキーでは「夜中に都心を出発したのに、関越を降りたのは昼過ぎだった」「1本リフトに乗るのに2時間並んだ」などというエピソードには枚挙に暇がありません。一方で、ゴルフにおいてはそれほどの異常なブームを起こした経験がないのです。スキーは大人から子どもまで、世代を問わず広がった巨大なムーブメントでしたが、ゴルフはそこまでのものではなかったのです。会員権価格が暴騰したり、平日でも予約が取れなかったりといった需給バランスの崩れはあったものの、所詮その程度の話です。いまとなっては、バブル時代のひとつのエピソード、というレベルのものでしょう。

たとえば昭和50年生まれの筆者の場合、中高生時代が華やかなりしバブルの時期と重なります。やがて大学生になり、バブル当時の名残でスキーやスノーボードを楽しむ仲間たちは自分も含め大勢いましたが、ゴルフに手を出す者は皆無でした。バブル時代を実感として知っている我々世代からしても、ゴルフというスポーツを自分たちのものとは思えなかったのです。果たしていまの二十歳の若者たちに、ゴルフの魅力がどれほど伝わるのか、という点では疑問を抱かざるを得ません。

そしてもうひとつ。ゲレンデが見直される背景には、外国人の力が間違いなくあったということです。バブル期の狂躁を経て、日本中のスキー場から人がぱったりと消えました。かつては何時間も並んだリフト乗り場は閑古鳥となり、高値で売買されていたスキー場付近のリゾートマンションはゴーストタウンと化しました。日本のウィンタースポーツは栄華を極めた後、明らかに一度死んだのです。

しかし、やがて時が過ぎ、日本のゲレンデ環境の素晴らしさに目をつけたのがオーストラリアからやって来る旅行者でした。時差のない南半球からやって来た彼らは、ニセコの雪質に注目し、彼らにとっての真夏のシーズンに、素晴らしい環境でウィンタースポーツが楽しめる場所を見つけたのです。

ニセコの成功は、冬だけでなく、ウィンターシーズン以外のアクティビティを充実させたことでしょう。雪質の良いウィンタースポーツのメッカという側面と、オールシーズン楽しめる総合リゾートとしての懐の深さで、ニセコは世界から認められたのです。いつの間にかオージーのみならず、世界中から外国人を引き寄せるようになりました。

外国人によって「再発掘された」ニセコの存在が、日本人にウィンタースポーツの楽しさを思い出させてくれた側面は否定できません。日本のゲレンデは世界から憧れられる存在なのだという「新たな発見」が、スキーを甦らせたのです。こうした背景なくして、「雪マジ!19」の成功はあり得なかったはずです。スキーは過去の遺物ではなく、いまなお生きているスポーツなのだと若者たちに発信できたから、彼らも受け入れたのではないでしょうか?

日本のゴルフの魅力を中国人が発掘する!?▶

クラブユーフォ!管理人・野田道貴